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零れ詩 

空が青い。青い。

昨日父の誕生日だった。
父は今年で53歳になった。




君が奏でた言葉は悲痛にも皮膚をすべっていく。
声に表せない部分はからだであらわすしかない。
新しい世界に広がるのは実感のないもの。
決して手をのばしても指でひっかいてもつかめないものだった。


最近家の辺り一面に散らばった落ち葉を掃くのが朝の日課になった。
寺の掃除人の人員が足りてないらしい。朝から起こされるのはかなり迷惑な話だ。

イチョウにもみじ。黄色と赤と茶。夏みかんは熟れに熟れてうりうりしてる。
外は寒くて嫌だけど
こんな美しい葉をかきあつめるのはすっかりコンクリートまるだしになった道路を見てすがすがしさに浸る父を背に、なんだか贅沢だとかんじた。
葉を拾う度に思う。
全ての瞬間が

芸術だったんだと。



少なからずとも君にひとしれず感じるのはさみしさといとしさ。
ささやかながら君を想う。
愛してるということばは悲痛にも首筋をとおってながれていった。
体にしみこむ。
気持ちは静かに高ぶる。

ゆるやかに


君は静かに目をつぶる。
滴ったしずくはしずかに弧を描きながら波紋を広げた。

零れたのは悲痛な叫び。
歩いた心地は空への入り口。
つかみどころのないいとしさだった。


からだで感じているはずのつかみきれないなにかを感じるために、
君の悲痛な叫びをいま
いとしく想う。
by tokyo.full-moon | 2004-12-12 09:19 | 04Winter Poem